事例詳細

事例山善(上海)貿易有限公司 様

山善(上海)貿易有限公司

暗礁に乗り上げたMicrosoft Dynamicsの活用において、業務効率を高めるシステムにテコ入れし直し複数拠点のデータの一元管理を実現。

山善(上海)貿易有限公司 様左:董事 財務総監 平山 奨士 氏/右:機工部部長 森井 郷 氏

中国で主に日系メーカーの工作機械や産業用機器を幅広く取り扱う専門商社の山善(上海)貿易有限公司様は、2002年の設立以来、中国市場の拡大に伴って右肩上がりの成長を続けてきました。しかし、市場の追い風はいつまでも強く順風ではありません。それまでの拡大路線で築いた事業基盤を礎に、今後を見据えた安定路線へ舵を切ろうと、深センと香港、台湾にある現地法人とのシステム連携で経営効率を一段と高めるべく、Microsoft Dynamics AXとMicrosoft Dynamics CRMを導入しました。ところが、ITに明るい情報システム部門がなく、当時導入を手掛けたITベンダーの言葉を鵜呑みにするしかなかったプロジェクトは当初目指した成果が上がらず、暗礁に乗り上げます。そこに、中国でDynamicsを専門で手掛けるシーイーシー上海が新たなパートナーとして選ばれ、新たなプロジェクトとして再始動しました。

導入の背景

拡大路線から安定路線へ舵を切るべく
拠点ごとに管理する数値の一元化を図る

山善(上海)貿易の本社は大阪府を本拠地とする大手専門商社の山善だ。工作機械から産業用機器、住宅建材、家庭用機器といった商材を幅広く取り扱い、日本国内に加え、北米から中国、東南アジアを中心にグローバルに事業を展開している。中国は1993年の香港を皮切りに、2002年に上海、そして2005年には深センに海外現地法人を設立し、日系メーカーの工作機械や産業用機器を中心に輸入から現地調達に至るまで広範に取り扱っている。

中国の山善グループの強みは、いち商社という立場を越えてメーカーさながらに自社で技術者を豊富に抱えている点だ。工作機械や産業用機器の納入時の据え付けから以後のメンテナンスまで、メーカーの代わりを十分に務められる高い技術力を兼ね揃えた中国人の技術者を組織し、競合する他の商社とは一線を画している。こうした優位性を武器に、市場の追い風も受けて順調に業績を伸ばし、2014年度には連結売上高が200億円に迫るまでに大きく成長してきた。

山善(上海)貿易有限公司 董事 財務総監 平山 奨士 氏

だが、その一方で上海、深セン、香港、台湾の各法人では、各種業務のデータを管理するシステムをそれぞれで導入し、法人ごとや拠点ごとに最適化した業務プロセスが個別に構築されてきた。山善(上海)貿易の董事・財務総監の平山氏は、「市場は拡大一辺倒ではありません。将来を見据え、量を追い求める従来の拡大路線から今後は質を求める安定路線に転じるために業務改革が急務でした。それにはまず各拠点が持つデータを一元管理する横断的なシステムが必要だと考えました」と当時を振り返る。

例えば、在庫管理。専門商社として様々なメーカーの多種多様な商材を扱う中国の山善グループは、その業態ゆえに常に一定の在庫を抱える。成長する市場環境では多少の余剰在庫を一時的に抱えてもすぐに解消できるが一旦需要が落ち着けばそうはいかない。「データをグループで一元管理することで在庫の全体最適が図れ、ひいては全社で利益率を高めることができる」と機工部部長の森井氏は拠点間のシステム連携の重要性を説明する。

システムが却って業務効率を下げた

他にも、見積書をはじめとする手書きの帳票類やそれらの数値を販売管理システムに手作業で再入力する業務など、改善すべき非効率なルーチンワークが少なくなかった。そこで2014年、中国のグループ全社でマイクロソフトの統合ERPパッケージのDynamics AXと営業支援のDynamics CRMの導入を開始。各社で運用するバラバラのシステムを統合し、業務の標準化・効率化とともに中国全体のデータを一元管理することで経営効率の向上を目指した。

しかし、「経営視点の要求と実際に業務でシステムを日常的に使用するスタッフの意向が十分にかみ合っていなかった」(平山氏)こともあり、現場からは”Dynamics導入後は業務効率が下がった”と以前のシステムへの回帰を求める意見も上がった。加えて、各部門や拠点が当時導入を担当したITベンダーに個別で要望した機能や仕様が、その必要性を十分に吟味されることなく実装された。その結果、機能の部分最適と開発・運用コストの増加に拍車がかかり、当初目指した業務改革を実現するシステムとは言い難いものとなってしまった。

海外拠点のITにおける導入目的と課題

  • 1 複数拠点のデータ
    連携
    中国圏のグループ会社とその拠点間でシステム連携しデータを一元管理して全社で経営効率を高める。
  • 2 帳票のシステム化 手書きの帳票のデータを他のシステムに手入力する作業を削減し、人為的なミスの軽減を図る。
  • 3 システム部門がない 海外拠点はITに詳しいシステム専任の部門がなく、頼りになるITベンダーの存在が欠かせない。

導入後の課題と解決

一旦は継続利用を諦めたDynamicsを
精通したパートナーとともに再始動
山善(上海)貿易有限公司 董事 財務総監 平山 奨士 氏

本来は業務改善して利益を生むべきシステム導入。しかしながら、画面遷移に数十秒を要するほどレスポンスタイムが遅いメニューもあり、見積書の作成・管理すらもシステムのいち機能として十分に実装できない。片や導入を手掛けたITベンダーに対して不信感を募らせるとともに、「実はDynamicsというパッケージ自体に懐疑的になっていた」。そう述懐する平山氏と森井氏らは一旦は継続利用を諦めることも考えたという。

だが、それを見かねた日本本社の情報システム部門から、「中国現地でDynamicsの導入から運用、保守まで専門で手掛ける日系のITベンダーがいる」と紹介を受けた。それがシーイーシーの中国法人、希意禧(上海)信息系統有限公司だ。森井氏は、「IT専任の情報システム部門を中国現地に持たない弊社にとって、パートナーとして頼りになるITベンダーの存在は欠かせません。プロジェクトを再始動するにも、導入時の轍を踏まないようDynamicsに精通していて、我々に適切な提案とアドバイスをしてくれるパートナーが絶対に必要でした」と当時の心境を振り返る。

ユーザーが気付かない”当たり前”を提案

導入自体に直接携わっていないシーイーシーが山善(上海)貿易のDynamicsの課題解決に関わり始めたのは2016年。慢性的に遅く、業務に大きく支障を来していたレスポンスタイムの調査を皮切りに、これまでに中国で培った数々のDynamicsの実績から適切なパフォーマンスの改善案を提案した。「正直に言うとITベンダーを変えても駄目かもしれないと思っていた」という平山氏。自社でも把握しきれていないシステム開発の状況下で、ITベンダーを切り替える不安は決して小さくなかったが、毎月の定例会議に臨むシーイーシーの姿勢や管理手法に「確かな信頼感があった」と評価する。

例えば、「導入時は3回で設計されていた画面遷移を1回に減らすなど、ユーザー側では気付かない”当たり前のこと”を提案してくれました」と平山氏。また、Dynamics AXにはない機能だと言われ、仕方なくエクセルやCRMで代替していた様々な機能が「実は本来備わっている標準機能だった」(森井氏)こともシーイーシーの助言で判明したという。

システムそのものではなく、運用に関する改善案もあった。その一つが新規ユーザーのID登録の業務だ。新規ユーザーが増えた場合、従前は導入を担当するITベンダーに登録を外注していたため、その都度費用が発生していた。だが、シーイーシーは山善(上海)貿易が自社で内製できるよう中国語のマニュアルを提供。外注費を減らしてコスト削減を実現できる提案となった。

今後の展望

販売管理をDynamics AXに統合
中国のスタッフが喜ぶシステムに

2016年夏からシーイーシーを新たなパートナーに迎え、一旦は暗礁に乗り上げたDynamics導入によるグループ全社のシステム連携のプロジェクトを再始動した山善(上海)貿易。およそ1年間をかけて様々な改善を試み、2017年7月にはDynamics AXとDynamics CRMの保守サービスの窓口をシーイーシーに完全に一本化した。レスポンス遅延の原因も解消しつつあり、今後はこれまで当座しのぎの対策でエクセルをフロントエンドとして利用してきたデータの出入力のシステム化に着手する予定だ。

平山氏は、「見積書などの手書きやエクセルの帳票をシステム化することで作業を効率化し、二重入力による人為ミスを減らしたい」と話す。次に販売管理をDynamics AXに統一する計画だという。その先には、グループ会社のシステム連携によるデータの一元管理を通じた全社での経営効率の向上を描く。また同時に、「中国のスタッフから”Dynamicsを導入して業務が効率化した”と喜んでもらえるシステムにしたい」と平山氏と森井氏は声を揃える。

長年、中国でDynamicsを導入・運用する日系企業に特化してサポートの実績を積んできたシーイーシーのもとには、導入だけではなく、運用・保守に課題を抱えるユーザーから多くの相談が寄せられる。山善(上海)貿易によるシーイーシーとの二人三脚はまさに始まったばかりだ。

山善(上海)貿易有限公司 山善(上海)貿易有限公司
  • 社  名: 山善(上海)貿易有限公司
  • 本  社: 中国上海市徐匯区宜山路1388号 民潤大厦1号楼1階B座
  • 従業員数: 235名
  • 拠 点 数: 14拠点
  • 事業内容: 工作機械や産業用機器の販売
  • 写真:取扱商品の一つである山崎技研の立形マシニングセンタ YMZ-850

※製品名・企業名・役職名など、記載の情報は取材時のもので、閲覧時には変更されている可能性があります。

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